組織の硬直化(10月19日)

組織の硬直化について、面白い話を聞いたことがある。
「確かに!」と思ったので、紹介しておく。

まず、人は”狩猟民族”と”農耕民族”に分けられる。今風に言えば、肉食系と草食系となろうか。

■ステップ1は、”狩猟民族”が2,3人集まって面白そうな事業を起こす。
事業が起こるきっかけは、椅子に座っていても始まらない。何かを始めようと、人が動きまわり人と接するうちに事業が生まれてくる。とにかく、走りながら考える。これを起こせるタイプの人は、”狩猟民族”の人達。

■ステップ2は、”農耕民族”が組織化とルール化を進める
事業が起こりだんだんと大きくなっていくと、新たな人が必要となる。そして、人が増えてくると組織として運用するためのルールが必要となる。このルール化が得意なのは”農耕民族”の人達。”狩猟民族”はルール化なんてのは興味ないから。好きにやりたいようにやっちゃう。
”農耕民族”の人達が組織を整えて、組織運営の主体となる。

■ステップ3は、”農耕民族”が採用を進める
更に組織が大きくなると、人の採用が増える。組織化したのは”農耕民族”の人達なので、採用する人は”農耕民族”の人達が多くなる。なぜなら、人は同じ民族を好むから。
■ステップ4は、組織の分解。
”農耕民族”が決めたルールに対して、”狩猟民族”は動きが拘束されてしまうので、息苦しさを感じるようになる。その結果、狩猟民族の人達は組織を離れていくことになる。

■結果、ルール化された中で生きる人達が多くなり、新しい事を作りだすような人達がいなくなってしまい、組織は硬直化してしまうことになる。

■対策は、狩猟民族の人達を全体のルールに載せないこと。分社化したり、評価基準を変えたりすることで、自由度を与えること。

それでもアナログが競争力を左右する(5月14日)

 日本の製造業の強みとされた”すり合わせ型”物作り。私は、これを支えていたのは、日本の終身雇用にあったと思う。終身雇用を前提に、会社は自社内で社員を教育する。ローテーションを実施して複数の工程を経験させることにより多能工化を実現する。多能工化すれば、需要の変動に応じて他の部署への応援を臨機応変に行えるだけでなく、色々な工程を知っているから当然”すり合わせ”がやりやすくなる。あうんの呼吸なんてのも生まれやすくなる。日本はみんなそれなりな教育を受けた平均的な人が圧倒的に多いから、多能工化なんてのも進めやすい。これが強みだったんだよね。

でも、今はそんな時代じゃ無くなっちゃった。1人が同じ会社に一生涯務めることによる、労働力の固定化が問題視されたり、実力主義による能力給の導入なんかが行われて、いまでは新入社員の半分くらいは転職しちゃう。
 これが今の日本企業の力が落ちた原因とも考えられるけど、それではちょっと単純すぎる。技術革新は常に起こっていて、デジタル化の進化によって”すり合わせ型”物作りが、”モジュール型”に変わって行っている。いい例は、車の電気自動車化が良く言われている。秋葉原で部品を買ってくれば、自分で作れるようになると。それを止めることは出来ずに、待っていたら確実に負けてしまう。

 ここまでは、良くある話だよね。でも、製造視点だけで議論していても、問題は解決しない。私が思うのではデジタル化が人と人の結びつけ方を変えてしまったということ。製品開発や設計、マーケティングの領域でも交わりが薄くなってしまっているんじゃないかな。
製造領域のデジタル化は進めないとしょうがない。だから物作りはデジタル化でしょう。でも、それ以外はやっぱりアナログが必要なんだって。
 一生、営業のスペシャリスト、設計のスペシャリストもいいけど、やっぱりイノベーションを生むには、製品開発や設計、営業、生産が”すり合わせ型”で進めることを必要とされているんじゃないかな~?イノベーションだって、結局は人と人の結びつきなんだから。

何が良いかは一概には言えないけども、少なくとも選択肢が増えたことは良かったことだよね。どう進むかはやっぱり自己責任だよ。
 こうなっちゃうと、「やり方を考える人=マニュアルを作る人」と「マニュアル通りにやる人」に分かれてしまうのはしょうがないよね。どちらに属するかを、人それぞれががんばらないと。会社全体を”すり合わせ型”にするためにどうするか?経営者が意識して進めることが必要なんでしょうね。

日系IT企業におけるプロジェクトマネジメントの標準化(2月16日)

 ずーと昔から、日本のIT企業ではプロジェクトマネジメントの標準化が議論されてきました。
 その議論のスタート地点は、「赤字プロジェクトを撲滅したい。優秀なベテランPMならばいざしらず、今は若手にもプロジェクトマネジメントをやってもらわなければならない。プロジェクトマネージャの育成とマネジメント力の底上げが重要である。」というものでした。そして、その多くは膨大なチェックリストを作って、それにしたがってリスクを把握して、全社で共有するというものでした。
 残念ながら、プロジェクトマネジメントの標準化という取り組みは、日本のIT企業ではうまくいかなかったのではないでしょうか。これは、我々自身も反省しなければなりません。
 今からでも、プロジェクトマネジメントの標準化に取り組む企業もいると思いますが、私はもう手遅れだと思っています。ご承知のよう、”標準化”という取り組みは、”平均”の議論です。標準にしたがった進め方をすることによって、タスクの漏れを無くすとともに、無駄なタスクも無くす。そして、同じ評価軸を用いることによって、問題を早期に発見・対処することを狙います。また、使った結果をフィードバックすることで、その標準(進め方)を進化・成長させていくことを狙っています。でもこれって、マイナスが無くなる代わりに、尖った部分も無くなってしまう。
 仮に、この標準化を日本のIT企業と中国のIT企業が行って、同じように品質の底上げをしていったとします。そうすると、後は単価勝負になってしまい、日本人が日本で作業をする日系IT企業には分が悪い。
 ですから、日本のIT企業はいまさら標準化へ取り組んだところで、戦い方を間違えているのではないかと思うのです。標準とは違う、尖った部分を磨くこと。今までと、まったく違ったやり方を考えだすことが必要なのではないでしょうか?

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