棋士は、どのように考えているのか?

 先日、渡辺明竜王・棋王・王将(2013年10月10日時点)と矢内理絵子女流四段(2013年10月10日時点)の対談を聞いてきました。その場で、渡辺竜王が説明した思考プロセスは次の様なものでした。

1)現状を分析する(状況がいいのか?悪いのか?)
2)過去の前例を分析する(事前準備)
3)未知の世界へ向かうために構想を練る(ありたい姿を描きそこへいくための仮説をたてる)
4)先を読むことにより仮説の検証、比較を行う。先を読むために必要な要素は、読みの量/深さ/正確さの3つ
5)全体を俯瞰する(全体を見渡して、自分勝手な読みになっていないかを確認する)
6)次の一手を指す
7)検証する(対局終了後の感想戦で検証を行い、次回に備える)

 

コンサルティングの思考プロセスと似ていますよね。”尖った”思考結果を出すには、仮説検証プロセスがよろしいようで。


 棋士は、将棋盤を見ていると、次の一手が頭に浮かぶそうです。多くの経験から、不要な手を排除して、有効な手に絞られたものが頭に浮かんでくる。つまり、仮説が頭に浮かんでくる。将棋の世界では、良い仮説を立てられるようになることは、なかなか難しいそうです。当たり前ですが。やっぱり、ここに方法論は存在しなくて、センスに依存するところが大きいと。

 一方で、多少のヒントもありました。コンピュータとの対戦で感じたそうなんですが、棋士は過去の経験から不要なものを削除している一方、コンピュータは次の一手として可能な手を網羅的に検証して決めるそうです。これ故に、人が当然と思って検証していないようなビックが手がコンピュータから発見されるのでは?と。

もしそうだとすると、ITのビックデータなんてのも、結構おもしろいことを起こす可能性があることなのかもしれません。

 将棋界でコンピュータが棋士に勝ったら、企業戦略もコンピュータが立てることになるのかも。

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